2023.01.17
財務
No2. 決算書を活用できていますか?2nd
現預金比率、流動比率、自己資本比率の優先順位は?
みなさんは、決算書を見ていますか?
決算書を活用し、自社の財務状況を「見える化」してみましょう。
今回のテーマは、安全性をチェックする指標(現預金比率、流動比率、自己資本比率)の優先順位についてみていきます。
1.安全性の3指標の意味を確認します。
算出の仕方は、2022.12.19のブログをご参照くださいませ。
現預金比率
会社が有している短期的な支払能力を表す比率です。
現預金比率が高いということは、会社の資産のうち現預金の割合が大きいということです。取引先への支払いや借入金の返済は、現預金で行うのが原則で、機械等の現物で弁済することはできません。同じ資産額であれば、現預金の占める割合が高ければ、それだけ短期的な支払能力は高くなります。
流動比率
会社の1年間単位の債務支払能力をみる比率です。
1年以内に現金化できる売掛金や棚卸資産等と、現預金の合計額が、1年以内に返済期限が来る債務や借入金に対して、何倍あるかを検証します。2倍以上であれば、1年間の支払いについては、安全性が高いです。
自己資本比率
中長期的な財務の安全性を表す比率です。
会社は銀行からお金を借りるか、資本金として拠出、または利益を蓄えることで、お金を集めて事業を行っています。集めたお金のうち、資本金と利益の累積額の合計額の占める割合を自己資本比率といいます。
自己資本比率が高いということは、銀行や取引先から借りたお金(他人資本)の割合が低い状態ですので、返済が必要な金額が少ないため、安全性が高くなります。
2.自己資本比率より、現預金比率の優先順位が高い!
短期的な支払いに窮すれば、長期的な安全性が高くても会社は潰れてしまいます。そのため、優先順位は、現預金比率、流動比率、自己資本比率の順になります。
3.現預金比率を上げるために何をしたら良いか。
① 長期の借入金を行う。
銀行から6年の返済期限、1年据え置きの条件で1,000万円融資を受けた場合、長期借入金は増えますが、現預金も増加するため現預金比率と流動比率は上昇します。
科目 |
借入前 |
借入後 |
差額 |
現預金(流動資産) |
500万 |
1,500万 |
1,000万 |
機械装置(固定資産) |
500万 |
500万 |
0万 |
総資産 |
1,000万 |
2,000万 |
1,000万 |
買掛金(流動負債) |
500万 |
500万 |
0万 |
長期借入金(固定負債) |
0万 |
1,000万 |
1,000万 |
総負債 |
500万 |
1,500万 |
1,000万 |
資本金(自己資本) |
500万 |
500万 |
0万 |
負債+自己資本 |
1,000万 |
2,000万 |
1,000万 |
現預金比率 |
50% |
75% |
+25% |
流動比率 |
100% |
300% |
+200% |
自己資本比率 |
50% |
25% |
-25% |
② 事業に関係のない資産を売却する。
事業に直接的に関係がない会員権や高級車を売却すれば、固定資産が減少し、現預金が増加します。結果、現預金比率と流動比率が上昇します。短期的な資金繰りを確保して長期的な財務改善を計画実行しましょう。
会社経営していくためには、税金の知識だけでなく、財務の知識も必要です。
会社を守る、財務の知識を身につけたい方は、お気軽にお問い合わせください。
梅澤太陽税理士事務所
梅澤 太陽
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