2023.05.17
経営
No6. 経営計画を作った方が良い理由
皆様、こんばんは。財務と経営のコンサルタント梅澤太陽です。
今回は、「経営計画」について書きます。
「経営計画」というワードを耳にするけど、事業計画とどこが違うのか?
作成すると、どの様な効果があるのか?と疑問をお持ちの方、参考になさってください。
経営計画とはどの様なものか
経営計画は、人により定義が多少異なりますが、私が考える経営計画の本質は、会社が目指す理想の姿を数字だけではなく、言葉でも表現し、記載したものです。
もう少し具体的に言葉編と数値編に分けて内容を見てみましょう。
言葉編
言葉編の呼び方は、ミッション、理念、ビジョン等、いろいろありますが、呼び方は何でも良いと思います。
こだわりのある方にはお叱りを受けそうですが。。
言葉編の最大の目的は、社長の頭の中にある理想を言語化することです。言語化により、2つのメリットがあります。
①社長自身が、自分の理想を具体化できる。
②社員の方が、社長が考える会社の理想を理解できる。
言語化は、下記の設問に答えていくと骨格ができます。
(ア)会社は、世の中に対してどの様なプラスの影響を与える存在になりたいか。
(イ)経営者が考える、かっこいい会社の定義
(ウ)会社から社員への約束
(エ)社員から会社への約束
(オ)求める社員像、行動指針
(カ)数値計画を達成するための方向性(経営戦略)
(キ)数値計画を達成するための具体的な行動(経営戦術)
(ア)はミッション、(イ)は経営理念、(ウ)と(エ)は経営方針と呼ばれたりします。
経営計画を作成していない企業の社長に、あなたの会社のミッションは?と聞くと、困ってしまうケースが多いのです。まずは、(ア)から(キ)までの質問に答えるかたちでベースを作ってみましょう。
例をあげてみます。
会社は、世の中に対してどの様なプラスの影響を与える存在になりたいか
・考える力を使って、お客様の業績に革新的な変化をおこす。(コンサル業)
・最高のおもてなしと料理で、お客様のお腹と心を満たす。(飲食業)
経営者が考える、かっこいい会社の定義
・社員も、お客様も、両者ハッピーを感じる会社。
・自分で考えて行動する社員が、お客様に対して自分が考える最高のサービスを提供する会社。
会社から社員への約束
・毎期利益を出し、外的要因の変化が起こり、売上が50%減少した場合でも1年間は耐える財務体質にします。
社員から会社への約束
・数値計画の達成こそが共通にして最大の目標と理解し、その役割分担として個人の仕事があることを理解する。
・考えることの重要性を理解し、自主性を持って仕事に取り組む。
求める社員像
・自身の発言や行動は、会社の意見ということを理解し、常に責任を持つこと。
・まず「できるはず」「なにかやり方があるはず」と考える。
(できないと思った瞬間からできない理由を探す方に頭を使ってしまう。)
【数字計画を達成するための方向性】
販売戦略(市場範囲、ターゲットの細分化、差別化)
- 市場範囲は、東京の千代田区、顧客は歯科医院、コンサル付きの税務顧問。
採用戦略
- SNSの活用、書籍の出版、訴求力のある求人文章。
【数値計画を達成するための具体的な行動】
販売戦略(市場範囲、ターゲットの細分化、差別化)
- 千代田区の歯科医院のリストを作成、DM、テレアポ、紹介推奨を行う。コンサルの知識の体系化と社員への共有を行う。
採用戦略
- Instagram、Twitterをまず始めてみる。現在の業者任せの求人文章を社内で校正する。
数値編
数値編の作成で大切なことは、2点あります。
①過去の実績から、予測するのではなく、5年後、10年後になりたい状態を考えること。
②PLだけではなく、BSとCFも作成すること。
(PL、BS、CFについては、03.17のブログ「キャッシュフロー計算書」に詳細を記載しております)
上記を踏まえて下記の事項を決めていきます。
- 理想とする数値計画(PLだけでなくBS、CFも作成する)
- 財務指標の目標(自己資本比率、経営安全率、現預金比率等)
- KPIの設定
【経営計画のメリット】
経営計画を作った方が、業績が向上する確率が高い理由
社長の頭の中の理想、進むべき方向が言語化されることにより、社員が何をしたら良いかが具体的になり、何が正しいか自分で考え、行動する様になります。(勿論、全員ではないですが、必ず変化をする社員が現れます。)社員が同じ方向を向いて行動を始めれば、社長が立てた経営戦略やビジネスモデルが間違っていない限り、業績が向上する可能性は格段に上がります。
経営戦略はPDCAで、外的要因にスピード感を持って対応できる
会社の業績も下記の算式が成り立ちます。社長や社員が一生懸命働いても、儲からないビジネスモデルの選択や、経営戦略が間違っていれば成果を出すことは難しく、優秀な能力を持った人が多い会社でも潰れます。
会社の業績 = 考え方(経営戦略)× 熱意(モチベーション)× 能力
はじめから100%すべてを充足した経営戦略を立てられることは少ないです。また、会社の外的要因は絶えず変化するため、経営戦略、戦術をそれに合わせて調整していく必要があります。
スピード感を持って絶えず調整し続けるためには、毎月、自社の財務数値、KPI、その他の経営指標をチェックして現状を把握し、対策、対応を考える必要があります。
社長、幹部、社員の不安やストレスを軽減する効果がある
理想を言語化、数値化することで、幹部、一般社員の方も社長の考えや、進みたい方向、大切にしている価値観をはっきりと理解することができます。
理解できれば自主性を尊重しても、大きく外れた行動をとることは少なくなります。自主性を持って仕事に取り組めれば、社員のモチベーションは上がります。社長からすれば、自分で考えて行動する社員が自然に増えるということです。
経営計画の概要はご理解頂けたでしょうか。経営計画は作って終わりではなく、毎月、実績と計画のズレを把握し、考え方(経営戦略)の検証をすることが大切です。
社員との相互理解のためにも、業績向上のためにも、非常に役に立つツールである経営計画について書かせて頂きました。
理想に近づくためには、理想を言語化、数値化して具体性を持たせて社員と共有することが有益です。
経営計画の作成にご興味がある方は、ホームページのお問い合わせ(CONTACT)ページからお気軽にお問い合わせください。
https://www.office-taiyo.com/contact/
梅澤太陽税理士事務所
梅澤 太陽
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